団体交渉・労働協約について

労働組合にとって、とても大切な団体交渉・労働協約について、簡単に説明します。

(1) 労働条件は使用者が決めるもの?

労基法2条1項「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」

→しかし、実際には個別交渉だと力関係で負けてしまう。

→就業規則で集団的に労働条件を決定し、合理性や周知要件を課したが、使用者が一方的に決める点では変わらない。

→労組法は、労働組合と使用者が団体交渉を行い、合意した労働協約の力を強大にし、労働条件の対等決定を実現する道を確保した。

→労働条件の対等決定は、団体交渉によってこそ実現される。

(2) 団体交渉・知っておきたい2つのこと

①交渉事項…
 労働条件に関する問題全て(賃金・労働時間・昇格・解雇・懲戒など)、組合活動に関する取り決め

②誠実交渉義務…
 使用者は自己の主張を相手側が理解し、納得することを目指して、誠意をもって団体交渉にあたらなければならず、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明したり、必要な資料を提示するなどし、合意達成の可能性を模索する義務があります。
→違反すれば不誠実団交として不当労働行為となるのです。ここは大事なポイントです。

(3)労働協約について

☆定義
団体交渉を行って、労使が合意した事項を文書にし、労使双方が署名、または記名押印したもの(労組法14条)。

☆効力
労働協約は、労働契約や就業規則に優先するため、労働協約の内容が労働条件となる(規範的効力)。

☆有効期限
 有効期間あり→上限は3年、満了すれば失効するが、自動更新条項も可能。
 有効期限なし→労使どちらか一方が90日前に文書で解約通告を行えば解約できる。解約には理由は不要だが、権利濫用あるいは不当労働行為にあたる場合には解約は認められない。

☆協約の失効
 ①有効期間の満了 ②合意による解約 ③一方当事者からの解約(有効期限の定めがない労働協約について90日前予告による解約、重大な労働協約違反を理由とする解約、締結時には予測もできなかった異常な事態での事情変更による解約) ④当事者一方の消滅
  *協約は通常は一体的な契約であるから、当事者は自己に不利な部分のみを解約することは原則として許されない。

(4) 交渉が行き詰まったときはどうすれば?

①争議行為
組合にとってストライキは「伝家の宝刀」!
違法行為にはなりません→刑事免責、民事免責、不当労働行為(労組法1条2項、8条、7条)

②労働委員会
公平な独立行政委員会、準司法機関。公益委員、労働者委員、使用者委員によって構成されています。

救済申立→調査→審問→命令(和解)
不服の場合、中央労働委員会or地方裁判所にいくことになります。

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