義援金等の受取を理由とする生活保護廃止決定の取消を求めています


 
 仙台市内に住むAさん(女性)は従前生活保護を受給していましたが、東日本大震災で被災し市内の仮設住宅で暮らしていたところ、本年7月から8月にかけて義援金、生活再建支援金合計金145万円を支給されました。

 本年8月中旬頃、仙台市○○福祉事務所の担当ケースワーカーは、Aさんに対し、上記義援金等の扱いに関し、自立更生のために充てられる費目について説明をしましたが、その説明は「1 生活用品・家具」、「2 家電」についてのみであり、「3 生業・教育」以下については「これはあなたに関係ないですね」と言い、説明をしませんでした。

 そして、その直後仙台市○○祉事務所は、自立更生に充てられる費用として生活用品・家具、家電のみ(合計金69万3000円)を記載した自立更生計画決定調書をAさんに交付し、受給義援金等合計金145万のうち残額金75万7000円を収入認定して、保護廃止決定を行いました。

 しかし、本来義援金等(生活再建支援金を含む)は、被災による住居の再建・修繕、家具什器や生活用品の購入、移転費用等失った生活基盤の回復のためのものであり、また、被災自体に対する慰藉・弔慰として支給されるものです。
 多くの国民等の善意であって、本来社会通念上収入認定になじまないものです。
 仮に、義援金等を収入認定する扱いをするとしても、その場合、義援金等の上記性格からして、自立更生に充てる金額を最大限控除し、生活の再建に向かわせるべきです。

 この点、平成23年5月2日付厚生労働省社会・援護局保護課長「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱にについて(その3)」は、

 自立更生計画の策定に当たっては、被災者の被災状況や意向を十分に考慮し、一律的・機械的な取扱いとならないように留意するとともに、あらかじめ「別紙2」を提示、説明するなど被災者の事務負担の軽減に努めること、費目・金額を積み上げずに包括的に一定額を自立更生に充てられるものとして自立更生計画に計上して差し支えないこと、この場合、使途について確認する必要はないこと等を実施機関に求めています。

 上記通知「別紙2」には、「自立更生のために充てられる費目」として、

 「1 生活用品・家具」、「2 家電」の外に、「3 生業・教育」として、事業用施設の整備に係るもの(施設の補修・事業用機器の購入等)、技能習得に係るもの、就学等に係るもの(学習図書、運動用具、珠算課外学習、学習塾等)、制服・通学用鞄・靴等、文房具等、その他、「4 住家」として、補修、建築、配電設備・上下水道設備の新築、その他、「5 結婚費用」、「6 墓石、仏壇、法事等弔意に関する経費」、「7 通院、通所及び通学等のために保有を容認された自動車の維持に関する経費」、「8 その他 その他生活基盤の整備に必要なもの」を掲げています。

 また、宮城県も、民間で復旧・復興にあたっている「東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センター」の申入れに対し、「義援金等を受領するすべての被保護世帯に対し、自立更生計画策定について支援を行うよう指導しているが、衣食住の確保など眼前の問題のみならず、技能習得に係るものや生活基盤の整備に必要なものへの備えなど、根本的な自立を見据えた自立更生計画の策定について、助言、支援を行うよう指導していく」と回答しています。

 Aさんは、仙台市○○福祉事務所から上記のとおりきちんと助言・支援を受けていれば、例えば自身の技能習得費(パソコン資格取得等)、仮設住宅を出た後の転居費用、新居の敷金、家賃、同居する長女の将来の結婚費用、仏壇・仏具、墓石の費用等を自立更生のために必要な費用として計上していました。あるいは、費目・金額を積み上げずに包括的に一定額を自立更生に充てられるものとして計上していました。

 しかし、仙台市○○福祉事務所は、Aさんに対し、上記厚労省通知別紙2の「3 生業・教育」以下の費目について一切説明・教示をすることなく、また、包括的に一定金額を自立更生に充てられるものとして計上できることを教示することなく、一方的に衣食住の確保等眼前の費目のみで自立更生計画決定を行い、残額を収入認定し、もって保護廃止処分を行いました。これは上記厚労省通知に反する違法・不当な処分です。

 そこでAさんは、10月19日宮城県に対し生活保護廃止処分の取消しを求めて審査請求を申し立てました。

 宮城県でもAさんのようなケースは多数あると思いますが、審査請求しているのはAさんを含めまだ3件とのことです。
 同じような被害に遭っている方は迷わず当事務所にご相談ください(菊地)。


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