相続の基礎知識

◆ 法定相続人と法定相続分
  誰が相続人になるか、相続する割合はどのくらいかについては民法で決められています。
  配偶者は常に相続人となります。配偶者とともに相続人になるのは以下の方で、いないときは次の順位の方が相 続人となります。
 [第1順位] 子       相続分 → 配偶者 1/2  子   1/2
 [第2順位] 直系尊属(父母。いない場合は祖父母)      
                  相続分 → 配偶者 2/3 直系尊属 1/3
 [第3順位] 兄弟姉妹  相続分 → 配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4
  なお、配偶者以外の相続人が複数いる場合は、基本的にはその相続分は均等割になります。

◆ 特別受益・寄与分
 法定相続で不都合が生じる場合、それを調整する方法として「寄与分」「特別受益」という制度があります。
 ① 寄与分
  遺産分割にあたり、相続人のうち、被相続人とともに家業に従事したとか、被相続人の療養看護を負担した等で被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした方の貢献の度合い(寄与分)に応じて、その方の相続分を増やして具体的な相続分を算定することがあります。寄与分が認められる場合は、遺産から寄与分を控除して、残りを法定相続分により計算します。寄与分をもつ相続人は、法定相続分に寄与分を加えた分が相続分となります。
 ② 特別受益
  相続人が、被相続人の生前に被相続人の財産をもらったり(贈与)、被相続人の遺言で遺産の一部または全部をもらったり(遺贈)して受けた利益を特別受益といいます。
 相続人のなかに、被相続人から特別の利益を受けていた人がいる場合、これを単純に法定相続分とおりに分けると不公平が生じます。これを是正し、特別受益の部分を相続財産の前渡しと見なして相続分が調整されることがあります。

◆ 相続が開始した場合、相続人は次の3つのうちいずれかを選択することができます。
 ① 単純承認
   被相続人の権利義務のすべてを相続することです。(借金などの債務も相続します。)
   相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に、他の手続きをとらなければ、自動的に単純承認したものとみなされます。
 ② 相続放棄
   被相続人の権利義務を一切引き継がない方法です。
   被相続人に借金がある場合などに使われる手続きです。
   相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。
 ③ 限定承認
  相続によって得た財産の範囲内で借金を弁済する方法です。
    積極財産、消極財産がどのくらいあるか分からない場合に有効な手続きです。
    相続が開始したことを知ったときから3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出します。
  なお、限定承認は、相続人全員でしなければいけません。

◆ 遺産分割の方法遺産の分割方法として、以下の方法があります。
 ① 遺産分割協議
   相続人の話し合いにより遺産を分割する方法です。
 ② 調停・審判
  話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をす 
ることになります。調停でも決まらなければ、審判に移行することになります。

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