フィットネスクラブの傷害事故のご報告


Aさんは長年ジムに通っている男性で、その日も、フィットネスクラブで腹筋用マシンを使ってトレーニングしていたところ、突然マシンのシート座部のフレームが外れて落下し、左肩脱臼等の傷害を受けました。
このマシンは、それまでも使用中にシート座部が外れて落下したことがあり、Aさん以外の会員も気にしていました。
Aさんはフィットネスクラブの責任を問題にしましたが、機械に問題はないと主張し、謝罪もしませんでした。
このため、Aさんは、弁護士に示談交渉を依頼し、その後、損害賠償請求の民事調停申立てをしました。
調停では、フィットネスクラブの安全配慮義務違反に加えて、マシンの製造メーカーに対しても製造物責任の追及を行いました。
調停での話し合いと並行して、フィットネスクラブの了解を得て実際に事故が発生したジムに行ってマシン本体の調査をしたり、他の会員の話も聴取してマシンの問題を確認するなどの弁護活動も行いました。
調停(基本的に話合いで解決を探る)の限界で、法的責任まで認めさせることはできず、また、鑑定費用の負担等の関係で訴訟提起はしないことにしましたが、メーカーとフィットネスクラブ双方がAさんに対し、「本件落下事故が発生したことをお詫びし、今後類似事故の再発防止に努める」として一定の解決金を支払う内容の調停が成立したことで、一石を投じることはできました。
フィットネスクラブのマシン操作での傷害事故は、先例も少なく、スポーツ器具の安全に関する法的規制も不十分な現状であり、Aさんの勇気ある問題提起を無にしない対応が必要だと考えています。
(小野寺・鈴木)


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