原発賠償 時効期間が迫っています


来年(2014年)3月で福島原発事故から3年が経過します。原発事故で被害を受けた方は不法行為にもとづき東京電力に対し損害賠償を求めることができますが、来年3月でその権利が消滅するおそれがあります。

民法によれば不法行為の消滅時効期間は3年です。この時効は原則として裁判所に訴訟提起しなければ中断されません。この点、現在国会で政府提出の時効中断特例法案が審理されていますが、この法案は、①ADRを申立てた場合で、②争点が明確になり、③和解が打ち切りになった場合に、④打ち切り後1ヶ月以内に裁判所に訴訟提起した場合に限って、時効中断効を認めるという極めて限定的なものになっています。

しかし、このような特例法案は不十分・不徹底なものです。民法が特別に3年という短期の時効期間にしたのは(10年が原則です)、交通事故のようにある日突然見ず知らずの者どうしがぶつかって一方が他方を怪我させた場合に、長期間責任追及にさらすのは酷だという趣旨です。そこにあるのは、今日は被害者でも明日は加害者になりうるという立場の互換性(お互い様)という考えです。しかし、原発事故はこれと全く違います。東京電力は絶対的加害者であり、加害者と被害者が入れ替わることはありえず、そこに立場の互換性はありません。ですから、そもそも今回の原発事故に3年の短期消滅時効を適用すること自体許されないことです。そこで、日弁連は短期消滅時効の適用を排除する特例法案を政府に求めています。

「東京電力はまさか時効を主張しないだろう」と言う方もおられるかもしれません。時効制度は、永続した事実状態を権利関係に高めるものであるが、そこには反倫理的側面があるので(「ある」ことが「ない」ことになってしまう)、時効を援用するかどうかを債務者の意思に委ね、援用によって時効の効果が生じると言われています。果たして東京電力に善意や倫理的なことを期待できるでしょうか?これまでの賠償に対する東京電力の対応からして一片の善意も倫理も期待できません。来年3月以後一斉に時効の援用が始まり、その結果大量の権利消滅の恐れがあります。

来年3月まで10ヶ月を切りました。まだ東京電力に請求していない方、請求しても拒否された方は至急相談されることをお勧めします。東日本大震災復旧・復興支援みやぎ県民センターでは、原発賠償みやぎ相談センターを開設し相談を受け付け、宮城原発被害弁護団に配点しています。電話番号は022-399-6907、月・水・金の午前10時~午後4時に受付しています。

権利消滅を防ぐため、早急な対応が必要です(菊地)。


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