小野寺義象(よしかた)弁護士の基調報告「秘密保護法の危険性」をご紹介します

仙台弁護士会は、11月12日、「秘密保護法の廃止と集団的自衛権の行使容認の撤回を求める市民集会」をおこないました。
小野寺義象弁護士が、「自衛隊国民監視差止め訴訟にみる秘密保護法の危険性」と題する基調報告をしましたので、その一部をご紹介します。

秘密保護法は、2013年12月6日に制定され、14年12月10日に施行予定です。
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1 自衛隊の国民監視事件を知っていますか?
イラクへの自衛隊派兵が問題になった2004年初頭に、陸上自衛隊情報保全隊が、派兵に反対する全国各地の集会、デモ等を監視し、個人の実名を含む内部文書を作成していました。これが。自衛隊員の内部告発によって判明し、マスコミが報道して大きな社会問題となりました。
  この事件に対し、監視対象となった東北6県の市民が思想良心の自由、プライバシー権、表現の自由、平和的生存権等の人権を侵害されたとして、監視差止めと国家賠償請求訴訟を仙台地裁におこしました。
  仙台地裁は、12年3月26日、内部文書は国民の「自己情報コントロール権を含む人格権」を侵害する違法文書と認定して、実名が特定される5人の原告について国家賠償請求を認めました。画期的な判決です。訴訟は、現在、仙台高裁に係属中で、来年1月19日に結審します。

2 秘密保護法には、こんな問題点があります。
① 「特定秘密」の範囲が広範かつ不明確で、恣意的に運用されるおそれがある。
② 秘密指定の適正さを点検する第三者機関が存在しない。
③ 処罰範囲も広範かつ不明確で罪刑法定主義に反する、また、被疑者・被告人の防御権や裁判を受ける権利が侵害される。
④ メディアの取材・報道や市民の知る権利・表現の自由に深刻な萎縮効果をもたらす。
⑤ 「適性評価制度」によって公務員・国民のプライバシー等が侵害される。
⑥ 特定秘密を最終的に市民に公開する確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民が知らないまま廃棄される危険がある。
⑦ 市民による国家権力の監視をさらに困難にし、立憲主義や国民主権を掘り崩す危険がある。

3 自衛隊国民監視差止め訴訟を例に、秘密保護法の危険性を見てみましょう。
  秘密保護法は
① 裁判所が違法と認定した自衛隊の国民監視行為(監視文書)の存在・実態を市民に隠すことを正当化します(同法3条1項・別表一イ・運用基準))。
② 自衛隊の違法な行為を市民に知らせた公務員(自衛隊員)を懲役10年以下の厳罰に処し、未遂、過失も処罰します(同法23条)。このため、公務員の情報公開・内部告発に深刻な委縮効果が生じます。
③ メディアや市民が「管理を害する行為」によって、「特定秘密」された自衛隊の違法行為の情報を取得した場合、懲役10年以下の厳罰を科されます。未遂(同法24条)も、さらに、共謀、教唆、扇動(同法25条)も処罰される。このため、メディアの取材、市民の知る権利に深刻な委縮効果が生じます。
④ 公務員(自衛隊員)に対する適正評価を実施し、情報を国民に知らせない公務員づくりがなされます。その評価の過程で、公務員のプライバシーや思想信条、さらに交友関係まで国が掌握します(同法12条。※現在でも自衛隊内部では隊員のプライバシーの情報収集が行われていますが、法施行により、一層公然・容易にできることになります)。
⑤ 国の違法行為を追及する訴訟が事実上成り立たなくなります(原告の追及に対して「『特定秘密』だから答弁しない」と対応するなど、法廷の場ですら、国家行為の実態解明の道が閉ざされることになります)。
⑥ この結果、自衛隊による国民監視が黙認・助長され、戦前の「軍部による国民統制社会」が再来します。

4 力を合わせて、危険な秘密保護法を廃止させましょう!!

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↓ 9月5日の日弁連のシンポジウムでも秘密保護法の危険性を訴えました

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