【解決事例報告】医療過誤事件で納得のいく和解が成立しました


  東北の甲県乙市に在住のⅩさん(当時31歳、男性)は、平成27年●月●日午前8時頃、自宅近くのY病院で胃カメラ検査を受けました。
  液体の麻酔薬を口に入れ、診察台に横になりマウスピースを口にはめて胃カメラが挿入されましたが、Y医師は胃カメラを挿入するとき、「あ~開かないな~」、「1回抜きますね」、「もう1回やってみますね」、「あ~流血しました。時々こういうことあるんですよね」、「もう1回入れますね」、「やっぱり入らなかったね~」等言い、結局胃カメラ挿入は中止されました。直後Ⅹさんは喉に強い痛みを感じました。
  帰宅後Ⅹさんはずっと寝たきり状態で翌日には熱が38℃に上がったため、ⅩはY病院を受診したところ、Y病院ではもはや手の施しようがなく乙市内の丙総合病院を紹介され、そこで応急措置を受けたうえ翌々日ドクターヘリで甲県丁市の大学病院に転院。同病院で膿の摘出手術を受け、術語絶対安静状態、2週間後同病院を退院し、丙総合病院に戻りました。
  Ⅹさんは、その間生命の淵を彷徨い、一時は声を出せなくなりました。退院時体重は10キロ近く減少し、歩くのもやっとでした。また、将来声帯の手術が必要になる可能性が大きいと言われています。
  Ⅹさんの病名は、咽頭部内穿孔による頚部腫瘍でした。その原因はY医師がⅩさんの口腔内から胃カメラを挿入した際咽頭部内を穿孔したことによりものでした。一般に胃カメラ検査は安全な検査とされており穿孔リスクは10万例に1~2件とされています。したがって、Y医師の胃カメラによる穿孔は同人の手技ミスであることは明白でした。
  退院後、Ⅹさんと家族がY医師に説明を求めると、Y医師は、事故の原因は「Xの体調不良と上手に飲み込めなかったせいだ」、「自分は悪くない」の1点張りで、Ⅹさんたちの話を聞かずに話をかぶせ、一方的にしゃべりまくる始末でした。
  そこでⅩさんは、当事務所の弁護士に相談し、その結果Y病院に証拠保全を行い、カルテ等を保全したうえで、Y医師と示談交渉を試みましたが、やはり誠意ある対応がなかったため、やむなくY医師を被告に甲地方裁判所乙支部に損害賠償の裁判を提起しました。その際医学面では協力医師に協力を仰ぎました。そして約1年の審理の後、裁判所の積極的な関与もあって本年7月和解が成立しました(本件事故発生から約4年後)。和解金は相応の高水準であることはもちろん、特筆すべきは、YがⅩさんに「衷心より謝罪する」という謝罪条項、「Ⅹに将来声帯手術が必要になったときはXとYは別途協議する」という特約条項を入れることができたことです。これによりⅩさんは安心して和解に応じることができました。
  医師と患者の関係性を考えると、医療ミスがあっても患者はなかなか声を上げることが難しいと思われます。とくにいわゆる「過疎地」であればなおさらです。そんなときは遠慮なく弁護士にご相談ください。弁護士は協力医師と協力して最善を尽くし、あなたの権利を守ります(菊地)。
                                                          以 上


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