かやば薬局・整理解雇事件:労働審判で勝利解決しました


■仙台市内に薬局を展開する有限会社かやば薬局(代表:萱場真也氏)が福田町店(当時)に勤務する労働者(薬剤師2名、事務2名)を整理解雇したのは違法として、2019年4月9日に仙台地方裁判所に労働審判の申立を行いました。
仙台地裁は、同年9月27日、労働者4名に対する整理解雇は無効と確認した上で、同日付で雇用関係を終了し、解決金(4人合計330万円)の支払いを命ずる審判を行いました。これに対し、かやば薬局は異議申立てをせず、同年10月11日に審判が確定し、かやば薬局は労働者に解決金全額を支払い、事件は勝利解決しました。
今回の審判は、整理解雇の違法性を明確に認めた上で会社に解決金の支払を命じ、労働者の権利を救済した評価できる内容でした。また、安易な訴訟移行をせずに、労働審判段階で早期解決させた(労働審判は3回で結論を出します)点でも重要な意義を有する審判でした。

■かやば薬局は、労働条件改善などを求め福田町店(当時)の労働者4名が労働組合を結成して2018年12月26日に団体交渉を求めたところ、2019年1月23日の最初の団体交渉の場で突然、経営不振を主張して福田町店の閉店と福田町店労働者全員の整理解雇を通告してきました。
これに対し、組合は、団体交渉の場で経営改善策なども提案して雇用継続を求めましたが、会社は同年2月15日に整理解雇を強行し、3月1日に福田町店を閉店してしまったのです。
4人の申立人のうち2人は、勤続20年のベテランで、退職金も不支給、なんら納得のいく説明もせずに、会社は不誠実な対応を続けていました。また、労働組合を結成して最初の団体交渉を行ったその場で全員整理解雇を告げるという異常な対応は、労組結成を敵視した不当労働行為といっても過言ではありません。
このような経過での労働審判申立でした。

■今回の勝利解決は、4人の労働者が会社の不当解雇にあきらめずに最後まで頑張ったこと、この4人を労働組合(宮城県医療労働組合連合会・宮城県労連)が全面的にバックアップしたことで獲得することができました。弁護団も、この解雇が判例で形成されてきた整理解雇4要件に明確に反していることを丁寧に主張立証し、裁判所に審判を出して欲しいと訴えました。
今回の労働審判は4人の労働者の思いと弁護団の弁護活動に応えてくれたのだと思います。
この事件を報道してくれた河北新報やしんぶん赤旗にも感謝いたします。

■現在、医療現場だけでなく、様々な職場において会社の不当解雇やパワハラ・セクハラなどに泣き寝入りをしている労働者の方がたくさんいます。今回の勝利審判が、このような労働者を励まし、労働者の権利向上の力になれば幸いです。
 一番町法律事務所では、通常のホームページのほか、10月1日から労働事件専用サイトも開設しました。せひ、ご活用下さい。

■この事件は小野寺義象弁護士(一番町法律事務所)と鶴見聡志弁護士(南町通り法律事務所)が担当しました。
(2019年11月5日)


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